■設立発起人代表挨拶

 このたび、私たちは「日本支援者支援学会」を設立する運びとなりました。設立発起人を代表して、ご挨拶申し上げます。

 激動する現代社会において、社会福祉、医療、心理、教育、看護、介護、さらには動物福祉等に至るまで、対人・対生命の支援に携わる多くの方々が、極めて重要な役割を担っています。専門職のみならず、家族・親戚・縁者、地域の担い手、ボランティアなど、広義の「支援者」は、社会の基盤を支える不可欠な存在です。

 しかしながら、その支援の現場においては、共感疲労やバーンアウト、二次的外傷性ストレス、倫理的葛藤、さらには専門職としてのアイデンティティの揺らぎなど、深刻な課題が広く指摘されています。これらは個人の抱える困難や負担にとどまらず、支援の質の低下や組織機能の停滞を引き起こすこともあり、結果として支援を必要とする人々や動物のウェルビーイングにも影響を及ぼす構造的な問題と考えられます。

 これまで、こうした課題に対する研究や実践は、各専門分野において蓄積されてきました。しかし、「支援者を支援する」という視点を中心に据え、それらを学際的・横断的に統合し、理論化と実践、さらには社会実装へとつなげていく場は、必ずしも十分に確立されてきたとは言えません。

 本学会は、これらの課題に正面から向き合い、「支援者支援」を中核概念とする新たな学術領域の構築を目指して設立されました。私たちは、支援者もまた支援を必要とする存在であるという人間観・生命観に立ち、支援者支援を個人のセルフケアに還元することにとどめず、関係性、組織、制度、政策、文化といった多層的な文脈の中で捉え直します。

 また、本学会は、専門職のみならず、家族介護や地域における相互支援、ボランティア活動など、インフォーマルな支援の領域も重要な対象とします。支援者の「支援の質」、「存在基盤及び活動の持続可能性」は支援者のウェルビーイングと相互支援的関係性に基づくものであるとの認識のもと、人と人、人と動物、人と社会の関係性を包括的に捉える学際的視座を重視してまいります。

 研究テーマとしては、支援者支援学の構築と発展を目指し、共感疲労やバーンアウト、心的外傷後成長等の諸概念に関する理論的・実証的研究にとどまらず、スーパービジョンやピアサポート、組織的支援、マネジメント、災害時支援、動物福祉、さらには国際比較研究に至るまで、広範な領域を対象とします。そして、これらの知見を実践へと結びつけ、支援者が持続可能に活動できる社会的基盤の構築を目指します。

 本学会は、学術大会や研究集会の開催、学会誌の発行、学際的共同研究の推進、実践者への研修・教育、政策提言、そして国際的な学術交流を通じて、この新たな領域の発展に寄与してまいります。

 支援者が孤立や過度な自己犠牲に陥ることなく、相互に支え合いながら専門性を発揮できる社会を実現すること。それは、支援を受ける人々や動物の尊厳と生活の質を守ることに直結します。そして、それこそが「持続可能な支援システム」の基盤であると私たちは確信しています。

 日本支援者支援学会は、支援者支援という新たな学術的・実践的領域を切り拓き、日本社会のみならず国際社会における支援文化の成熟に貢献していくことを志しています。

 ぜひ、多様な専門領域、実践現場、そして立場を超えて、多くの皆様に日本支援者支援学会へご参画いただきたく存じます。そして、日本、さらには国際社会における「支援者支援学」の確立に向けて、ともに学び、ともに考え、ともに実践しながら、未来につながる燈火(ともしび)をともに守り続けていけましたら幸いです。

 皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げます。

2026(令和8)年4月1日

日本支援者支援学会
設立発起人会 代表
藤岡孝志